1.「労働者派遣」とは、どのような形態ですか?

労働者派遣とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることをいい、これを業として行う場合は「労働者派遣事業」といいます。
つまり、派遣労働者と派遣先事業主との間には指揮命令関係だけがあります。
労働者派遣事業については、「労働者派遣法」によって、派遣元事業主及び派遣先が遵守すべきルールが守られています。

2.派遣労働者として就業できない業務はありますか?
労働者派遣法では、労働者派遣事業を行えない業務を次のように定めています。
したがって、派遣元事業主から派遣されてこれらの業務で就業することはできません。

@ 港湾運賞業務 (港湾荷役の現場作業に係わるものです。)
A 建設業務 (建設の現場作業に係わるものです。)
B 警備業務 (警備業法上の警備業務です。)
C 医療関係の業務 (医師、看護婦の業務などです。)
D 物の製造の業務 (派遣先の労働者が産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する際の代替要員として派遣される場合を除きます。)

●上記のほか、他の法律上の規定に基づき、
@ 人事労務管理のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結などのための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務、A 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、又は行政書士の業務についても労働者派遣はできません。

3.どんな派遣会社を選べばよいのでしょうか?
労働者派遣事業を行うことができるのは、厚生労働大臣の許可を受け、又は届け出を行った事業主だけです。
派遣労働者となるために登録し、又は雇用される際には、適正な派遣元事業主かどうか確認してください。
● 名前などを登録しておき、派遣先が見つかった段階で雇用契約を締結し派遣就業する、
いわゆる「登録型」の労働者派件を行えるのは一般労働者派遣事業だけです。
● 特定労働者派遣事業は常用雇用労働者だけを労働者派遣するものであり、上記の「登録型」を含め常用雇用労働者以外の労働者を労働者派遣する場合は、一般労働者派遣事業の許可を受けていなければなりません。
● 許可を受け、又は届け出を行っている事業所であるかどうか、確認してください。
● 派遣元事業主は、許可証又は届け出受理番号などを関係者から請求があったときに提出しなければならないことになっています。
● 許可を受けた(届け出をした)派遣元事業主かどうかわからない場合は、最寄のハローワークにご相談ください。

4.派遣労働者として登録する際の留意点はありますか?
派遣元事業主による派遣労働者の個人情報の収集、保管及び使用には一定の制限があります。
● 派遣元事業主は派遣労働者の希望や能力に応じた就業の機会を確保する努力義務を負っていますので、派遣労働者の希望や能力について必要な個人情報を収集することは認められています。
● ただし、派遣元事業主は労働者派遣に関し、その業務の目的の達成に必要な範囲で労働者の個人情報を収集、保管及び使用し、並びに個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないこととなっています。したがって、登録の段階で収集してよい個人情報は、派遣労働者の希望や能力に応じた就業の機会の確保を図る目的の範囲内に限られます。
● 人権、民族、社会的身分、門地、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合の加入などについて個人情報を収集することは、特別な業務上の必要性があること、その他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合を除き、認められません。

5.派遣労働者として雇用される時、契約締結方法に違いはありますか?
派遣元事業主に派遣労働者として雇用される時は、その旨が明示されます。
また、既に雇われている労働者を派遣労働者とする時は、派遣元事業主は派遣労働者となる者に対し、その旨を明示し、かつ同意を得ることとなっています。
● 派遣元事業主は既に雇用している労働者を新たに労働者派遣の対象とする場合に、労働者が同意しないことを理由として、当該労働者に対し解雇その他不利益な扱いをすることは禁止されています。
● 差遣元事業主に雇用される際には、労働基準法により、賃金、労働時間その他の労働条件が文書で明示されることとなっています。また、実際に派遣先で派遣就業するときは、この労働条件の範囲内となります。
● 労働条件の通知に際しては、モデル労働条件通知書を使用するよう派遣元事業主に対し周知徹底しています。

6.派遣先での就業条件は派遣労働者へどのように知らされるのですか?
派遣元事業主は派遣就業するに際して、派遣労働者に派遣先での就業条件を書面で明示することとなっています。
● 就業条件の明示は、労働者派遣に際し、あらかじめ書面で行われることとなっていますが、緊急の必要があるため書面による交付ができない場合、書面以外の方法によることもあります。ただし、派遣労働者が請求した場合や、派遣期間が1週間以上に及ぶ場合の派遣就業開始後に、書面で交付されることとなっています。
● 派遣元事業主が労働者派遣を行う際に派遣労働者に明示すべき就業条件は次のとおりです。
@ 従事する業務内容
A 派遣先事業所の名称及び所在地、その他派遣就業の場所
B 派遣先で、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
C 労働者派遣の期間及び就業をする日
D 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
E 安全及び衛生に関する事項
F 派遣労働者からの苦情の処理に関する事項
G 労働者派遣契約の解除に当たって講じる、派遣労働者の雇用の安定を図るための措置
H 派遣元責任者 及び 派遣先責任者に関する事項
I 派遣就業時間延長の場合の日、または時間数

7.派遣先での派遣就業が始まりました。留意点はありますか?
派遣労働者であっても、雇用保険、健康保険及び厚生年金保険の加入要件を満たす場合は、加入することとなっています。
● 加入するに当たっては派遣元事業主がその責任を負います。被保険者要件を満たすにもかかわらず、加入していない場合は、派遣元事業主に加入するよう 要請してください。
就業条件通知書の内容と、実際の派遣先で行っている派遣就業の内容が食い違うことがあってはなりません。
● 労働者派遣契約に定められた内容の履行確保のため、派遣先においては就業条件の周知徹底、就業場所の巡回、契約の内容に違反することとなる業務上の指示の禁止等の指導の徹底その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずることとなっています。
● 派遣元は、労働者派遣契約の定めに違反する行為を行った者及び派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずることとなっています。
● 派遣元事業主は、派遣先を定期的に巡回することなどにより、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に違反していないかどうかの確認を行うこととなっています。
派遣先はj派遣労働者に対して、セクシャルハラスメントの防止など適切な就業条件の維持、その雇用する労働者が通常利用している診療所、給食施設などの施設の利用に関する便宜等を図るように務めなければならないこととなっています。
● 派遣先は、派遣労働者の受入に際し説明会などを実施して、派遣労働者が利用できる派遣先の各種の福利厚生に関する措置の内容や、派遣先の他の労働者との業務上の関係について説明することとなっています。
派遣元事業主だけでなく、派遣先にも労働基準法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法等の一定の規定が特例的に適用されます。

8.派遣期間には制限があると聞いたのですが・・・?
派遣先は、次の@からBまでの場合を除いて、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元偉業主から1年を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならないこととなっています。(「1年の受入れ期間の制限」と言う)
@ 政令で定める26業務
専門的な知識、技術または経験を必要とする業務又は特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務で、政令が定める26業務。
1 ソフトウェア開発
2 機械設計
3 放送機器等操作
4 放送番組等演出
5 事務用機器操作
6 通訳・翻訳・速記
7 秘書
8 ファイリング
9 調査
10 財務処理
11 取引文書作成
12 デモンストレーション
13 添乗
14 建築物清掃
15 建築設備運転・点検・整備
16 案内・受付、駐車場管理等
17 研究開発
18 事業の実施体制の企画・編集
19 書籍等の制作・編集
20 広告デザイン
21 インテリアコーディネーター
22 アナウンサー
23 OAインストラクター
24 テレマーケティングの営業
25 セールスエンジニア
26 放送番組等の大道具・小道具

A 有期プロジェクト業務
事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内に完了することが見込まれるもの(ただし、派遣期間の上限は3年)
B 産休、育児休業等の代替要員
派遣先の労働者が産前産後休業、育児休業、それに前後する休業する場合のその労働者の業務(通産2年を超えない期間内で終了が予定されているものに限る)
※ ただし、1人の労働者が「政令26業務」と 「1年の受入期間制限」のある業務を合わせて行っている場合には、同一の業務について1年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととなっています。
● 「同一の業務」とは、労働者派遣契約を更新して引き続き同じ業務を行う場合のほか、派遣先における組織の最小単位において行われる業務も同一業務とみなします。この場合の「組織の最小単位」とは業務遂行のまとまりの最小単位のもので、係や班、課、グループなどが該当します。
● 派遣先が新たな労働者派遣を受ける場合に、その直前の労働者派遣との間が3ヶ月を超えないときは継続しているとみなします。
● 派遣先が「1年の受入れ期間の制限」に違反して労働者派遣を受けていた場合、その派遣労働者を雇い入れるよう指導されます。この指導にもかかわらず派遣労働者を雇い入れない場合は、厚生労働大臣はその派遣労働者を雇い入れるよう勧告し、この勧告に従わない場合は、派遣先の企業名などが公表されます。

9.派遣先の「雇用の努力義務」とはどのようなことですか?
派遣先は、派遣就業の場所ごとの同一の業務について派遣元事業主から継続して1年間派遣労働者を受け入れていた場合であって、引き続き同一の業務に労働者を従事させるためにその1年間が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときには、その同一の業務に1年間従事した派遣労働者を遅滞無く雇い入れるよう務めなければならないこととなっています。この「雇入れの努力義務」が生じるのは、次の@Aの要件を満たす派遣労働者です。
@ 1年が経過した日の前日までに、派遣先に雇用されて同一の業務に従事することを希望する旨を派遣先に申し出たこと。
A 1年が経過した日から起算して7日以内に派遣元事業主との雇用関係が終了したこと
● この努力義務は、誰か労働者を雇用しようとする場合の優先雇用の努力義務であり、この義務は、同一の業務について継続してちょうど1年間派遣就業していた派遣労働者に対してのみ生じます。したがって、「1年の受入れ期間の制限」とは別のルールです。

10.派遣就業中にトラブルが発生しました。相談するところはありますか?
派遣元責任者及び派遣先責任者は苦情処理の義務を負っています。
● 派遣先は、派遣労働者の受入れに際し説明会等を実施して、苦情の申し出を受ける者、派遣先において苦情の処理をする方法、派遣元と派遣先との連携をを図るための体制等を派遣契約において定め、その内容については派遣労働者の受入れに際し、派遣労働者に説明することとされています。
● 派遣元事業主及び派遣先は派遣労働者からの苦情の申し出を受けたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこととなっています。
派遣就業に関する違法事案について派遣労働者は厚生労働大臣へ申告することができ、この申告を行ったことを理由とした不利益取扱は禁止されています。
● これに違反した派遣元事業主及び派遣先には罰則が科されます。
公共職業安定所の専門の苦情処理窓口や労働者派遣事業適正運営協力員精度を活躍することができます。

11.労働者派遣契約が派遣期間の途中で解除されました。
このまま解雇されてしまうのでしょうか?

労働者派遣契約が途中で解除された場合、派遣労働者は直ちに解雇されるものではなく派遣元事業主は派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければなりません。また契約の解除が専ら派遣先に起因する事由により場合には、派遣先もまた派遣労働者の雇用の安定を図るための措置を講じなければなりません。
● 派遣元事業主は、派遣先と連携して当該派遣先からその関連会社での就業の斡旋を受ける等により、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが求められています。
● 派遣先は、労働者派遣契約を解除するに当たっては、派遣労働者の雇用の安定を図るため、その派遣先の関連会社での就業を斡旋する等の措置を講ずることが求められています。